「文学とは何か (5)『大きな物語』」
日本語には「小説」という言葉があります。
また、英語では文学を含む作品のことを「piece」と言いますが、
これは「断片」という意味です。
いずれにしても、「小さい」、「部分」という意味合いがあるわけですが、
では、「大きい」、「全体」は何かと言えば、
それは、「世界史」ということになります。
キリストを主とした世界史が、
「小」に対する「大」であり、
「断片」に対する「全体」なのです。
小説や劇は、「その一部を示す模型」ということができます。
それによって、「多様性」や「時代性」が出てくるということになります。
主人公はキリストの型であり、
論理的であり、愛によって「とりなす人」です。
それが成しきれずに「未だ完成に至らず」となれば、「悲劇」となります。
世界史は「大きな物語」ですが、
人間はその演者のような存在ということになります。
「どこで(時代・場所)、どうような役回りを演じるか」が、
「人格」や「生死」と関係してきます。
演者は物語でそれぞれの役割を果たし終えると、
舞台からは退くことになります。
しかし、終盤の大団円や、終了後のカーテンコールのときには、
演者たちは一堂に笑顔で出揃います。
悪役は大団円には参加できず、
また、劇の一部でなかったものはカーテンコールには参加できません。
これが復活と、その後の神の国の型になっています。