第1部 第五章 (5)「水の裁き」と「火の裁き」
図4 「世界」における東西南北
図1 東西南北
図3 「アメリカ」における東西南北
東西南北
図1のように、地域におけて、東西南北で性質の違いがあり、
それは十字の四隅に対応しています。
それぞれの性質は以下のようになります。
西 (下り) …(身体)
・横秩序。
・民主主義。拡散的な技術。
南 (太陽) …(政治)
・太陽に依存。
・非文明化。
東 (上り) …(経済)
・根源を求める。宗教的。強力な縦秩序。
・専制君主的。官僚組織的。
北 (自力) …(自由)
・太陽の「恵み」の否定。自力救済的。
・先進的、革新的、革命的、「リベラル」。(英国、ソ連、北欧)
「北」における「自由」は、神によるのでなく自力によるものであり、
真の自由ではありませんが、それは革新性・背信性として表れます。
以下、具体的な地域について見ていきます。
図5 「古代世界」における東西南北
図2 「欧州」における東西南北
図7 「洗濯」における「水の裁き」と「火の裁き」
「欧州」における東西南北
図2は「欧州」における、東西南北と十字の対応を示したものです。
フランス(西) …(身体)
・農業、絵画、料理、衣服など、身体、衣食住。
イタリア(南) …(政治)
・ローマ、カトリック。
ドイツ (東) …(経済)
・精密技術・精密機器、哲学、音楽。
イギリス(北) …(自由)
・市民革命、産業革命など世俗化の先駆け。
西と東
西と東
図6・上は、
世界史規模で見た「西」と「東」の広がり
を表したものです。
西は「エジプト→ギリシア→ローマ→西洋」
となり、
東は「アッシリア→バビロニア→ペルシア→東洋」
となります。
覇権国家は西と東が入れ替わりながら歴史は進行し、
以後は西はイギリス、アメリカ、東は日本、中国
というように大国が西端、東端にまで広がります。
西と東の性質
西は平面的(横)であり、民主主義的。
(ギリシア、ローマ、西洋の民主政)
東は縦秩序(縦)であり、専制君主的。
(官僚を抱えた専制君主)
宗派
東ほど縦秩序が強くなります。
媒体
20世紀末に特徴的な媒体も、
東ほど集権的な縦秩序となります。
図6 西と東
図8 「ユダヤ民族」における「水の裁き」と「火の裁き」
図9 「イエス」における「水の裁き」と「火の裁き」
図10 「世界史」における「水の裁き」と「火の裁き」
図11 エジプトとバビロン
図12 「水の時代」と「火の時代」
図13 「水の裁き」と「火の裁き」
図14 携挙と雲
「洗濯」における水と火
「水の裁き(西、左)→火の裁き(東、右)」
という順番があります。
図7は「洗濯の過程」です。
まずは「水洗い」(水の裁き)があり、
次に「日干し」(火の裁き)があります。
それぞれ、十字の左(水)と十字の右(火)に対応します。
水洗い(水の裁き)
・大まかに洗う。
↓
日干し(火の裁き)
・乾燥、殺菌と細部に至る。
水は「全体的、包摂的」という性質を、
火は「精錬的、浸透的」という性質を示します。
火の裁きの後は清潔でふかふかな状態になりますが、
これは雲の中における新天新地に対応しています。
「ユダヤ民族」における水と火
図8は「ユダヤ民族」における、
「水の裁き」と「火の裁き」です。
エジプト(水の裁き)
・大洪水(ノアの洪水)
・アブラハム(人類の洗礼)
・モーセの出エジプト(洗礼。溺れるエジプト軍。)
↓
バビロン(火の裁き)
・火矢を射たれるエルサレム
・捕囚(バビロン捕囚、城壁に幽閉)
・ダニエルと仲間(火や獅子に入れられる。)
「イエス」における水と火
図9は「イエス」における、
「水の裁き」と「火の裁き」です。
水の洗礼(水の裁き)
・ヨルダン川で水の洗礼を受ける。
↓
死。「渇く」。(火の裁き)
・十字架で「渇く」と言う。
「世界史」における水と火
図10は「世界史」における、
「水の裁き」と「火の裁き」です。
ピラミッド時代(水の裁き)
・大洪水
・アブラハム(人類の洗礼)
・出エジプト(海を割る)
↓
資本主義時代(火の裁き)
・近代化(石油などの燃料)
・世界大戦(火器)
・資本主義末期(バブル・炎、バベルの塔、停滞・渇き)
エジプトとバビロン
図11は、
エジプト(西、水の裁き)とバビロン(東、火の裁き)の対比です。
この対比は聖書の記述による古代のものですが、
あらゆる時代に類比させることができます。
例えば、「大淫婦バビロンの倒壊」(ヨハネの黙示録)は、
「資本主義の終わり」という類比になっています。
それぞれの対比は以下のようになります。
属性
エジプトは身体的であり農業が特徴的で、
バビロンは経済的であり商業が特徴です。
農業は水と土による「横」のものなのに対して、
商業(貨幣的秩序、資本主義)は「縦」のものとなります。
(資本の蓄積、バブル、高層ビルなど)
縦と横
ピラミッドの方が、バベルの塔やバビロンの空中庭園よりも平坦であり、
聖堂なども、時代が下るほど鋭くなる傾向にあります。
世俗にあっても、時代が下るほど都市化し、建造物が縦に伸びます。
最初は西側のエジプトが繁栄しますが、
後に、より強い偶像を持つバビロンが勝利します。
しかし、ピラミッドが徐々に風化(衰退)するのに対して、
バベルの塔はより鋭い分、崩壊(急死)します。(バブルの崩壊)
表象
エジプトはナイル川の氾濫に対して、(横)
バビロンは城壁やバベルの塔など(縦)が表象となります。
聖書(集約)が編纂されるのも、主にバビロン捕囚期からです。
エジプトの貴族は猫(奔放、横)を好み、
バビロンは犬やライオン(盲信、縦)が好まれます。
「ハエ」(不潔、堕落、西、エジプト)と、
「ハチ」(刺殺、傲慢、東、バビロン)の対比があります。
(「エジプトからハエ、アッシリアからハチ」、イザヤ書。)
形態
西側は民主的(左派)であり、出エジプトを指導したモーセは、
民主的な傾向をもつ指導者です。(仲間の救出、律法など)
一方、東側は専制的(右派)であり、バビロン捕囚時のダニエルは、
高度な官僚制における官僚です。(ダニエルは「主は私の裁判官」の意)
東方の系譜
東西で覇権が入れ替わりながら、全体的に拡大していきます。
(最後は「世界全体における資本主義、グローバル化」に対応)
「水の時代」と「火の時代」
図12は、世界史において、
十字の左端付近が「水の時代」であり、
十字の右端付近が「火の時代」であること
を示しています。
十字の左は「水の時代」、
十字の右は「火の時代」となります。
「水の裁き」と「火の裁き」
エジプトとバビロンの対比
エジプト(西)とバビロン(東)では
偶像崇拝の性質が違い、その結果、
裁きの性質が違うことになります。
図13の上段のように、
エジプト(西)とバビロン(東)は
対比する偏った性質を持っています。
(偏りのないのが中心の「イスラエル」です。)
図13の中段のように、
エジプトは「多く弱い偶像」、(低くて多い)
バビロンは「少なく強い偶像」、(高くて少ない)
となっています。
バビロンの偶像の方が後の段階であり、より強力です。
(偶像については後に詳しく説明します。)
偶像と裁き
「多く弱い偶像」は身体的な欲求などの崇拝であり、
「少なく強い偶像」は主に貨幣に対する崇拝です。
「多く弱い偶像」は「横」の歪みであり、
「横」(水)の裁きが加えられます。
「少なく強い偶像」は「縦」の歪みであり、
「縦」(火)の裁きが加えられます。
「横」の例としては「酒に溺れる」(水)などであり、
「縦」の例としては「恥、嫉妬」(火)となります。
(恥や嫉妬は、「顔が赤くなる」、「嫉妬に燃える」
などの「火」(縦のずれ)によるものであり、
これは貨幣の「基準性・独占性」に対応する。)
火の方が後で、位置が高いので強い偶像であり、
世の終わりにあっての裁きは火の裁きであり、
最も厳しいものとなります。
携挙と雲
図14のように、
十字・右の、「右手、経済、火、石」において、
再臨のイエスによる携挙(雲に引き上げる)のとき
となります。
携挙に関する諸要素は以下のようになっています。
・終末の停滞(渇き) … 「火」
・技術(PC、労働の機械化) … 「右手」
・「引き挙げる」(携挙) … 「右手」
・半導体、銅線・電話線など … 「石」、「火」
・雲(ネット・クラウド) … 「経済」
このように、終末にあっては、
「右手、経済、火、石」の要素が極まり、
世の終わりと携挙のときとなります。
「アメリカ」における東西南北
図3は「アメリカ」における、東西南北と十字の対応を示したものです。
カリフォルニア(西) …(身体)
・西部・中西部の農業、ハリウッド。
テキサス (南) …(政治)
・南部の政治性。
ニューヨーク (東) …(経済)
・金融、高層ビル。
ミシガン (北) …(自由)
・デトロイト、シカゴなど。シカゴ学派、左派などの革新性。
「世界」における東西南北
図4は「世界」における、東西南北と十字の対応を示したものです。
西洋 (西) …(身体)
・福音の受容・広がり、植民地化。
アフリカ(南) …(政治)
・非文明化。
東洋 (東) …(経済)
・精密技術・精密機器、縦秩序、儒教。
ロシア (北) …(自由)
・社会主義革命。
「古代世界」における東西南北
図5は「古代世界」における、東西南北と十字の対応を示したものです。
エジプト (西) …(身体)
・農業、ナイル河、ミイラ、ピラミッド。
ユダ王国 (南) …(政治)
・ユダ族の正統性。
バビロン (東) …(経済)
・商都、城壁、鉄器、集権的な君主政。
北イスラエル王国 (北) …(自由)
・諸々の偶像崇拝。